Community2Earn

動機・哲学

人間が何かの活動をするためにはコミュニティというものは非常に重要なものであると思っています。例えば私が今、Astar Networkのアンバサダーとして活動をさせて貰っているのも、4年前に渡辺創太さんと偶然出会って、まだ本当に小さかった時のAstar Network(当時Plasm Network)のコミュニティにアクセスすることが出来たからだと思っています。その時の私は、ブロックチェーン技術に強い関心を持っていましたが、Astar Networkというチェーンの存在も、コミュニティの存在も全く知りませんでした。恐らく当時Googleで検索をすればPlasm Networkという名前やGithubには到達出来たと思うものの、そのコミュニティに到達出来たとは到底思えません。

私たちは今「私たちのコミュニティはオープンです。誰でも自由に入る事が出来ます」と多くの人々が言うのを耳にします。しかし、実際はその状態では、完全なる個人がコミュニティにアクセスして、コミュニティの一員として活動することはほぼ不可能ではないかと思っています。自分自身が多くの技術や言語能力を持つ人間であれば、コミュニティの方からアクセスしてくれるケースはありますが、大半の人間にとっては、そんなケースはゼロに近いでしょう。そして、4年前の私がそうであったように、何の特技もない人間が、ただブロックチェーンという技術に強い関心を寄せているという状態では、一部の偶然を除いて何も生み出さないというのが現実だと私は考えます。そして、一部の高い能力者のみがコミュニティの主役として世界を牽引するかと言えば決して、そんなことはありません。残念ながら私はそういった人間ではありませんが、多くの私のような凡人が、偶然と、そのタイミングと情熱と努力によって世界を変えるようなコミュニティを牽引するケースはたくさんあると信じています。

牽引者だけではありません。人間が生活し自分らしく生きていくためには、どれだけ多くの良質なコミュニティにアクセス可能かに依存しているのではないかと私は思います。コミュニティは牽引者だけで作られるものではなく、その中でフォローしてくれる人々、活動してくれる人々の熱量に支えられるものであり、その分野に関心を持つ多くの人に参加してもらうことは、コミュニティ、個人双方にとって非常に重要なことだと思います。

私のコミュニティに対する関心はブロックチェーンに限定されません。ローカルな地域、環境、文化、スポーツなど世界には様々なコミュニティが存在し、その全てが私の興味範囲です。私は、世界に存在する多くのコミュニティをリスト化し、アクセス可能にし、私のような凡庸な一般人が、熱意と努力を持って、そのコミュニティに貢献出来る仕組みを作りたいと願い、この「Community2Earn」を考えました。

課題

今現在、あなたがコミュニティにアクセスしたいと思った場合、あなたならどうしますか?恐らくブロックチェーン系のコミュニティの場合、以下の道筋を辿ると推測します。Googleで検索してそのコミュニティのホームページに行き、彼女たちが運営するDiscordに入って「GM」と送ってみます。Docsを参照してチュートリアルに取組み、動かない箇所があることに失望するのではないでしょうか?そして、多くの人が離脱していくと思います。この現象はブロックチェーンのコミュニティに限らないことだと私は認識しています。この事象が何故発生するのか、私の仮説は以下のとおりです。

  • 今の世の中でコミュニティと言っている物体にアクセスしても、それは私たちが欲しているものと違っている。
  • 私たちが望む応答が、ほとんどの場合で返ってこない。
  • 少なくとも私が期待することは、コミュニティにアクセスしたら、私の主張にゆっくり耳を傾け、私がやりたい、またはコミュニティが必要とする貢献活動について議論をしてくれ、歓迎されている意思を感じ取ることが出来るというものだが、そんな場面にはほとんどの場合、遭遇出来ない。
  • コンピューター系のコミュニティは、DiscordやTelegram、ElementなどのSNS上に存在し、Google検索で辿り着ける場合が多いが、それ以外のコミュニティはインターネット上に存在しない場合が多い。

少し例を出してみることにします。

  • 例えば私が新しい町に引っ越しをして、バスケットボールチームに入りたいとします。そんな時、Googleで検索してバスケットボールチームが検索出来るでしょうか?答えはNOです。
  • 私は地球環境や子育ての分野に関心が高く、日常的に貢献出来ることを実行したいと思うものの、個人でやるには限界があり、成果を称え合うことも出来ない状況では続きません。そういったコミュニティを自宅の近所で探そうとしても、現在のインターネットは役に立ちません。
  • 私がAstar以外のブロックチェーンに関心を持ったとして(今のところ、その予定はありません)、そのDiscordに入っても、どこにどうやってアクセスして良いのかわかりません。偶然的にAstarでいうtogaのようなコミュニティの中心人物と遭遇したとしても、きっとお互い上手くコミュニケーション出来ないと思います。

即ち、私たちは、今、以下の状況に陥っていると私は考えます。

  1. コミュニティにアクセスしようとしても、物理的にどこに存在するか検索出来ない、探す事が出来ない。
  2. コミュニティにアクセス出来たと思ったものは、実はコミュニティの外側にある森のようなもので、その中に存在する本当のコミュニティにはアクセス出来ない。

この2点こそ、私が解決したいと思う課題です。

目指す世界観

新しい町に引っ越した時に、まだ荷物が片付いていない部屋の壁にもたれてスマホで「○○町 バスケットボール」と検索すると、近所の体育館で活動するバスケットボールチームが検索出来ます。私は即座にそのコミュニティにアクセスして、その日の夜からプレイすることが出来て、その帰りには一緒にビールが飲めるような世界があったら最高だと思いませんか?

Astarに本気で関心を持った熱意のあるエンジニアが毎日何人もアクセスしてきて、チュートリアルの最新化、公式記事の翻訳、様々な技術のやってみた記事の執筆、毎日のようなAstarの将来性についてのディスカッションが開催され、小規模ハッカソンが毎週のように開催され、様々な挑戦的なdAppがどんどんと生み出されるようなコアコミュニティがあったら、ワクワクしませんか?

子育てに困った人がスマホで検索すると、近所で子育て支援をしてくれるコミュニティがいくつも見つかって、孤立することなく子育てが出来る環境があることは素晴らしいことだと思いませんか?

仕事やその他の都合で比較的長く外国に居住することになった時に、同国人のコミュニティがインターネットで検索出来て、その国の文化や作法、その他良いスーパーマーケット、公園、レストランなどの情報を得ることが出来たら、本当に心強いことだと思いませんか?

ありとあらゆるコミュニティがリスト化され、インターネットで検索出来て、そのコミュニティの最新の状態、即ち、そのコミュニティがアクティブなのかが分かり、即座にアクセス出来る世界があったら本当に良いなと私は思っています。

解決方法(概要)

繰り返しになりますが、私は認識する以下の2点の問題点に対応する方法を考えました。

1. コミュニティにアクセスしようとしても、物理的にどこに存在するか検索出来ない、探す事が出来ない。

2. コミュニティにアクセス出来たと思ったものは、実はコミュニティの外側にある森のようなもので、その中に存在する本当のコミュニティにはアクセス出来ない。

トークンインセンティブ (1.の解決手段として)

まず第一にあらゆるコミュニティをリスト化することを目指します。そのためにweb3のトークンによるインセンティブを使います。PSP22(ERC20)を実装し、一定の基準を満たしたコミュニティが登録された場合、「コミュニティトークン」と命名する予定のPSP22を継続的に配布することを考えています。但し、本dAppローンチ時には、コミュニティトークンは無価値です。そのため、Astar NetworkのdApp Stakingのメカニズムを利用して、Astarトークンによってインセンティブを実装したいと考えています。

コミュニティ設計(2.の解決手段として)

2.の問題点は私たちが普段属しているDiscord上などのコミュニティと呼んでいるものは、私がここで使っている言葉と少し性質が異なっている点にあります。。どっちが優れているという議論をするつもりはありません。それは機能の違いだと私は考えています。言葉を分ける目的で、今回私がリスト化しようとするコミュニティを「スモールコミュニティ」と定義します。

今AstarのDiscordにいくと約43,000人の登録があり、約2,300人くらいがオンラインになっていますが、私が今回のdAppでリスト化したいスモールコミュニティはこれではありません。例えば、このAstarコミュニティの中には、コアチームのコミュニティがあったり、アンバサダーのコミュニティがあります。さらにアンバサダーの中にも各国のコミュニティがあります。私がリスト化したいのは「日本のアンバサダーコミュニティ」のようなものになります。日本のアンバサダーは3人なので、このコミュニティは3人になります。言いたいことは総数としてのコミュニティではなくて、そのコミュニティの機能を実現する上での最小構成単位を「スモールコミュニティ」として定義したいという事です。

スモールコミュニティは個別具体的です。そのため、そのコミュニティにアクセスする目的も個別具体的になるはずです。一つのスモールコミュニティのサイズ、即ち人数がどの程度が適切かは今の私には分かりません。ただ、直感的に10人以下として定義をしたいと考えています。

フリーライダーの撲滅を目指して

この手の仕組みを作ろうとした時に必ず直面する問題がフリーライダーの問題だと認識しています。Community2Earnでは以下の方法でフリーライダーの撲滅を目指そうと思っています。

  • スモールコミュニティのメンバーは全員、一定期間内の貢献をオンチェーン上に申告する必要があります。申告を怠ったメンバーは自動的に除名される機能を実装します。
  • 不誠実な貢献しか深刻しないメンバーは、スモールコミュニティに実装されているDAOの機能を使って、メンバー削除提案をし、投票で可決されることで除名することが出来る機能を実装します。
  • 不誠実はスモールコミュニティの発生について以下の対応を行います。Community2Earnではスモールコミュニティをリスト化するためのオンチェーンの仕組みであるCommunity List Managerを実装します。Community List Manager自体がDAOで構成されており、どのコミュニティをリストするべきかは、このDAOにおける投票によって決定されます。活動の実態がない(または怪しい)スモールコミュニティはリストから除外される仕組みを導入します。

コントラクト構成

以下に実装中のdAppのコントラクト構成を記載します。スモールコミュニティを実装する”Community DAO”、スモールコミュニティをリストするための”Community Admin DAO”は両方ともDAOの組織形態をオンチェーンで実装します。

2つの完全オンチェーンのDAOは、前回のハッカソンで実装した”DAO Oriented Protocol”を使用して実装されています。コミュニティの中でDAOの機能がどのように実装されるかは、こちらの記事をご参照下さい。

機能一覧

ユーティリティ

  • スモールコミュニティの作成用CLI

Community DAO

  • 貢献の登録
  • 一定期間内の貢献の登録確認(貢献なしメンバーの除名)
  • Community Admin DAOからの報酬の受領
  • DAOが管理するTresuryからの個人への報酬分配
  • メンバーの管理
  • 提案の管理
  • 投票の管理

Community Admin DAO

  • スモールコミュニティのリスト管理(登録・削除)
  • dApp Stakingから受けた報酬のスモールコミュニティへの分配
  • コミュニティトークンの管理
  • コミュニティトークンの報酬分配(スモールコミュニティに分配する)
  • メンバーの管理
  • 提案の管理
  • 投票の管理

最後に

私はこのdAppが本当にあったら良いなと思って実装しています。このdAppを通じて多額の金を稼ぎたいとかすごい有名人になりたいとは思っていません。上記で記載した通り、自分とその他の「人々の人生を豊かにする」ために作りたいと思っています。また、ここでいう豊かというのは金銭的な意味ではなく精神的な意味においてです。

このプロトコルが実装されることで、世界中に存在するスモールコミュニティがプロトコルからのトークンの報酬によって持続可能になり、また、そのスモールコミュニティに誰でもアクセスすることが出来て、かつ、自分なりの貢献活動が出来るようになることを心から願っています。

もし、このような私の考えに共感して下さる方がいらっしゃいましたら、是非ご連絡頂けますようお願い致します。

※当面の間、報酬をお出しすることは出来ませんし、将来の報酬獲得も保障はできないので、完全なボランティア前提です。

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