導入

私は日本に住んでいて、都心部はおろか、所謂ベットタウンよりももっと遠い地域、所謂田舎と呼ばれる地域を好んで住んでいます。
それほど多くの場所に住んだ事があるわけではないので、どこまでこの国に浸透しているか分かりませんが、「無人販売所」というシステムが私の住む周りには存在します。私の知る無人販売所は畑の近くに存在します。集金をするための箱と商品を陳列する棚があるのみです。商品を購入する人は決められた金銭を箱に入れて、商品を獲得するという仕組みです。文字通りですが、その販売所には誰もいません。故に誰かが商品を盗みたいと思えば比較的容易に窃盗が成立しますし、十分な金銭を支払う事なく商品を手に入れることも比較的容易に実行可能です。
最近、この奇跡の販売メカニズムが崩壊しつつある場所を目の当たりにして、信頼をベースにしたコミュニティと価格決定のメカニズムについて、気づきを得たので、それを記しておくことが、この記事の目的です。

記事とは関連がありませんが、この奇跡の販売メカニズムが成り立たなくなりつつある社会を非常に嘆かわしく思いますし、取り戻したいと思います。

経過

話を分かり易くしたい目的で、今回お話ししたいことの関係性を以下に列挙します。個人的な嗜好としては物語調で記載する方が良いのですが、今回は伝わり易さを選ぶことにしました。

  1. ある無人販売所では多くの商品を基本的に100円で販売していた。
  2. ルールを守って欲しいという旨のメッセージが掲載される。
  3. 支払いの際に硬貨を確認して欲しいという旨のメッセージが掲載される。
  4. 悪意を持った人が商品を盗難しているという非難のメッセージが掲載される。
  5. 商品の値段が基本的に200円に変更される。

気付き

私は店主と関係がある訳ではないので、その他の要因の有無は分かりません。ただ、この経過は非常に分かり易い例を示していると思いました。

もはや説明の必要はないと思いますが、こういうことかと理解しました。

  • 当初、100円で販売した意図は分かりませんが、恐らく店主は善意を含めた価格設定だと思われます。
  • ここでこの店主の善意を汲み取らない悪意ある利用者が登場します。
  • 店主は、何とかこの善意を保とうとメッセージを発することで、是正されることを願いました。
  • しかし、是正されることがないため、結局、善意を汲み取りルールを守る顧客から倍の金銭を得ることで悪意ある利用者の不正行為を補填することにしました。

書き出してみると、もし自分が善意のある利用者だとすると非常に納得が納得ができないものがある事に気付きます。もう少し俯瞰して捉えると以下のような事が気付きとして得られると思います。

  • 価値観を共有出来るコミュニティにおいて、価値の移転に係るコストは低減することが出来る。
  • 価値観を共有出来ないメンバーが増えていくことで、既存のメカニズムが保てなくなっていく。
  • 価値の移転に係るコストが増加する。

この例は非常に分かり易いものとなっています。その理由は因果関係を明確に示してくれているからだと思います。私がふと思ったのは、この価格移転に係るコストの増加は、この社会の至る所で発生しているのではないだろうかということです。
簡単な例で言えば国家はそういう因果関係にあると思います。例えば、ある国家において犯罪者が増えれば、国家としてこれに対応しなければなりません。単純に発想すれば増税して犯罪者に対応する予算を確保することになります。そうしますと国家というコミュニティにおけるコストは増加することになります。反対に犯罪者が極端に少ない国家においては、そこに予算を投下する必要がないので、減税されないまでも、その税金は異なる目的で使用することが出来るようになります。
では企業と消費者という視点で見た時に、この因果関係が内包されていないのかと思考を広げた時に、企業を含む全てのコミュニティにおいて、この因果関係が内包されていることに気付く事が出来るように思います。

コストが按分されない社会を目指して

このような因果関係の中で私が最も注目するのは、国家組織や企業が複数のステークホルダーに対応するために、本来適切に分割されることによってコストが最適化される世界において、そのコストが按分されて高くなる世界です。
いくつかの団体や企業が思い浮かぶのですが、ここで明言するには私の分析が足りず、不当な言い掛かりになりかねないと思いますので、ここで特定の団体や企業を示すことはやめます。ただ、何も例がない状態ではイメージが伝わり辛いので、以下を例にすることします。

  • ある団体では企業相手のビジネスの実行と、一般消費者相手のビジネスを同一の企業で実行しています。
  • 企業相手のビジネスは、その情報の機密性が高く、高いセキュリティと安全性が必要となるため、設備投資や人件費が多くかかります。
  • 企業側のビジネスは失敗した時の損失が大きいため、通常の価格にこの失敗時のリスクヘッジ費用が按分されて計上することになっています。
  • 一方で一般消費者相手のビジネスは一件として情報価値も低いため、セキュリティ、安全性ともに、それほど多くの費用はかかりません。
  • この団体では、一般消費者のビジネスの費用に、企業相手に係る対応コストの一部が按分されています。

この状態の時、果たして一般消費者が支払うコストは正当なのでしょうか?恐らく答えはNOです。では、一般消費者専用にビジネスをする団体を選べば良いだろうと思うのですが、意外なことに世の中にはそういう団体は余り多く存在しません。恐らく、一般消費者専用にビジネスをしても多くの利益を見込めないのではないかと推測します。そのため、企業相手と一般消費者相手のビジネスをする団体のサービスを利用するしかないという状態が生み出されているのではないかと考えます。

ではこの状態は解決出来ないのでしょうか?
その答えは分かりません。今までの社会では解決されて来なかったからです。しかし、私はこの問題はパブリックブロックチェーンによって解決出来るのではないだろうかと見ています。例えば、先の例の一般消費者側のビジネスがブロックチェーン上のスマートコントラクトとして実装可能である場合、一般消費者は新しいサービスの選択肢を初めて獲得出来るようになるのではないかと推測します。この選択肢を与えることが出来る点こそ、パブリックブロックチェーンが分権のアプリケーションと言われる所以であると思います。
今回の例は特定の団体や産業の批判に陥らないように非常に表現を曖昧にしましたが、一部の不届者への対策費が按分されているサービス、一般消費者ではない部分に対応するための費用が按分されているサービスを使うしかない状況に陥っている場面は数多く存在するのだろうと私は認識しています。
私はweb3の基盤上に多くのアプリケーションが実装され、サービスを利用する私達が自分に合ったサービスを選択出来るようになる日が来ることを心待ちにすると同時に、自分自身もそういうサービスの実装に少しでも関わって行きたいと願っています。

--

--

動機

オンラインショップの利用拡大によって、私の住む地域でも常に宅配をする人が車で走り回っています。1台ではなく、2台も3台も走り回っています。そして、朝から晩まで走っている。目に見えるだけでそれだけの量が走っているのだから、その宅配に係る仕事量というのは相当なものだろうと思います。
ある日自分が庭にいると隣人の家に宅配の人が来て、不在なのを確認して帰って行った。再配達に対する負荷というものも相当になるだろうと認識しました。

一軒ずつ車を停めて荷物を出し、チャイムを鳴らして、不在であればもう一度来る・・・。果てしないこの宅配業務は果たして社会全体として効率的なのだろうかと思いました。。もし、この一軒ずつの宅配と再配達のコストを計算したら一体いくらになるのでしょうか。

解決案の策定に向けて

ではどうすれば解決出来るかということを最近ずっと考えています。ポイントは以下の点に集約されていると思います。

  • 再配達の削減
  • 特定のエリアに絞った纏めた宅配の実施

恐らくこれはもう何年も前から宅配会社の人は気付いているはずだし、コンビニやその他の協力のもと、上記2点を達成するスキームを検討して来たのだろうと思っています。但し、今のところ、このスキームが全国的に構築されて成功してはいないと思っています。

この問題をweb3で解決することが出来ないだろうかと思っています。

web3による解決策の提案

以下の設計によって、上記二つの課題を解決出来ないかを検討したいと思います。

宅配DAO

  • 宅配先になる個人や法人はDAOを組みます。宅配DAOと仮称します。
  • このDAOのメンバーになるためには一定額をネイティブトークンでディポジットしなければなりません。
  • 宅配DAOのメンバーは、荷物がきた場合、積極的に宅配DAOメンバー全員の荷物を受け取る義務が課されます。
  • 宅配DAOには配達した荷物数に応じて助成金が宅配会社から支給される仕組みにします。
  • 助成金はDAO内のメンバーによって分配されます。基本的には荷物を受け取った回数に応じて、この助成金を分配する仕組みとします。
  • 宅配DAOメンバーが荷物を受け取った場合、DAO内の決まったルールに基づいて処理を行う必要があります。メンバーが義務を怠った場合、ディポジットされたトークンは没収されます。

解決出来ない課題

但し、これだけでは完全に課題は解決出来ない考えます。。例えば、以下の点です。

  • クール便に対する問題。所謂冷蔵状態での宅配希望商品を複数保管するには市販の冷蔵庫しか持たない通常の家庭では対応出来ません。
  • 大きめの荷物の集中。例えばDAOメンバーが10人いたと仮定して、その10人が自転車のような大きめのものを同時に宅配する場合、個人の家の屋内保管が難しく、天候不順のような場合に対応出来ない可能性が高いように思われます。
  • 期限指定に対する問題。荷物を急いで受け取りたい場合、DAOのメンバーが中間で受け取ると荷物の到着が通常より遅くなるケースが発生する可能性が高いように思われます。
  • 個人による感覚の違いによるトラブル。「急いでいないと思った」「1日くらいいいでしょ」というような個人の荷物に対する感覚の違いによって、DAO内でのトラブルが発生する可能性が考えられます。

解決出来ない問題、DAOで協力することで、DAOで決め事を作ることで対応出来そうな問題があります。通常は必要ないものの、不測の事態の発生時、または一部の不届者に対応する時に必要となる費用、私はこの費用のことを”負の経費”と呼びます。DAOで協力することで、この負の経費をなくすことは、企業のみならず国家レベルにおいても重要なことだろうと私は考えます。

次のステップ

この宅配の問題を解決するdAppのプロトタイプを実装してみようと思います。そして、いつか宅配会社の人と話す機会、もしくは宅配会社が企画するweb3ハッカソンのようなものがあるタイミングで提案できたらと思っています。
そして、今回からdAppはWASMでやっていこうと考えています。

--

--